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● 知的財産としての英語学習 ●

英語学習をお稽古で終わらせないために(旧コンテンツ)

近年、幼児・小学生対象の「英会話」を主体にした英語教室が氾濫しています。 では、その学習が、果たして将来どのような意味を持ってくるのでしょうか? お子さまのために、このレポートを是非御一読ください。

小学生の英語学習が、どのような功罪を持っているか。他言語として、 幼児期や小学生で英語を学習した児童が、中学生・高校生になってから、 どのような経過を辿っていくか。英語を習い始めるのは、いつが最適なのか。 ベリタスでは、小学生の英語学習の現実、中学校の英語教育の現状、 入試のための英語学習の仕組みなど、いろいろな角度から検証してきました。 中学校での英語学習の実体を正確に知っていただくためにも、是非、ご一読下さい。

尚、本稿は、小学校で英語学習が採り入れられる前に記述したものです。

小学生対象の「英語教室」の現実

当然のことですが、私達は、英語を日常的に使っていません。一方、 ほとんどの英語教室の授業は週1回60分以内です。週1回の短時間の英語学習では、 せっかく習った英語も、膨大な情報の中に埋もれてしまい、身につきません。

また、ベリタス卒業生の膨大なデータによれば、小学生以下の英語学習は、 早ければ早いほど良いとは言い切れません。幼児期や小学校低学年で、本人の意思を無視して、 やみくもに英語学習を強いられたために、中学生になっても英語嫌いが続く生徒、 英語だけはどうしても"4"にならない生徒、英語の自習がいつも後回しになる生徒、 条件反射的に英語アレルギーを起こす生徒など、相当数見られます。

このことから、幼児~小学生の英語学習は、 学習方法にかなりの注意を払う必要性を感じますし、 どこまで学習の「成果」を求めて良いのか、 常に考えなければいけないことだと思います。

系統的な言語学習には、螺旋型の繰り返し学習が必要であることは、 周知の事実です。更に、それを習熟するためには、日々のリハーサルが必要です。 ところが、前述の通り、ほとんどの「英語教室」では、週に、 たった1回だけの授業で済ませています。これでは、 学校で英語授業がない小学生にとっては、たとえ、記憶の片すみに残されたとしても、 中学校で本格的な英語学習が始めれば、そんな知識は焼け石に水ですし、 かえって余計な知識が害を及ぼす可能性すらあります。 また、自習を義務づけても、小学生にとっては限度があり、 日々のリハーサルと言う訳にもいきません。

学習した英語を最初に使うのは、高校受験です

純粋に「教養を付ける」・「他言語を体験する」と言う意味で英語学習をするならば、 実利的なことは考えなくても良いかもしれません。 しかし、英会話=外国人とのコミュニケーションに使うことを前提とした学習が、 実利を全く度外視しているとも考えられません。

それに、例外を除けば、ほとんどの生徒が最初に英語力を求められるのは、 高校入試(高校入試に於いて、英会話力を見られることはほとんどありません) においてです。その入試に力を発揮できない英語教育を両手を挙げて、 「是」と言うことは出来ないでしょう。

現状の高校入試はどうなっているのでしょうか?

都・県立高校受験や大学受験でリスニングが導入されるなど、 確かに、かつての受験英語とは変化しています。 しかし、詳細にその問題内容を分析すれば、 従来通りの「読み・書き」を中心とした英語が主流であることに変わりありません。 目立った変化と言えば、純粋に記述する英作問題が激減し、 客観問題(記号で答える問題)が激増したことでしょう。更に、この数年の傾向として、 構文・単語の易化、問題文の長文化(速読力が必要)があります。 一方、hearing/listening問題は、 非常に容易な問題ばかりで、従来の受験英語が多少出来る生徒なら、 得点源とできる程度の問題です。
ベリタスでは、hearing/listening対策を授業中におこなっています。 都立高校共通問題は、普段の授業の中で3ヶ月ほど週に1回、20分ほど時間を割いて、 練習すれば、8割の生徒が満点を取れてしまうレベルです。

都・県立高校の入試問題が変化している一方で、 中堅レベル以上の私立高校・国立大学附属高校の受験問題にはそれほど目立った変化が認められません。 中学校で学習したレベルでは、到底解答できない問題を出題しています。 勿論、直接出題されている部分は、学習指導要領の範囲内ですが、 英語長文の長さが公立高校の問題の3倍以上あったり、その内容が、 公立高校の国語の論説文の内容を越えていることも希ではありません。 また、解答方法も、なるべく書かせるように工夫されています。
実際、そのような入試に合格できる中学3年生は、ある程度、単語に注釈を付ければ、 センター試験の問題をスラスラ解答することが出来ます。

学習未経験者と学習経験者の成績経過

次に、英語学習をした小学生と英語学習を全くしていない小学生で、 中学入学後、どのような経過を辿るのでしょうか?

中学1年生になってから、学校で英語を習い始めた後発組が、 小学生の段階から英語を習い始めた始めた先発組と肩を並べる時期は、 どんなに早くても、中学1年2学期になってからです。しかも、 後からスタートした後発組の内で、先発組と合流できる生徒は、 1-3割くらいです。先天的に語学力があり、 努力を惜しまなかった生徒だけが合流できるようです。 中学校で英語のトップ・グループを形成するのは、この2つのグループで、 この図式は、高校入試まで変りません。

では、小学生の段階から英語学習をした生徒が全員トップ・グループに入れるかと言えば、 「否」です。週に1度しか学習してこなかった生徒、「会話」主体の授業を受けていた生徒など、 少なくとも週に2-3回英語を書いてこなかった生徒は、ベリタス卒業生の成績分析によれば、 中学1年生になってから英語学習を始めたグループと同じ経過を辿っています。

中学校の英語学習の現実

中学校の実質授業時間が、30年前の半分以下に減少していることを考慮すれば、 現在の英語公教育が不十分であることは想像に難くありません。 また、"ゆとりある教育"の影響によって、英語の授業が過3時間に削られてしまって以来、 中学生の英語の平均的学力は大巾に低下しました。その現状の下、現在の中学生は、 高校入試にも対応でき、更に、英会話能力まで求められているのです。

こうした中で、個人の努力差によって、学力の二極化現象が出現しています。 中高一貫校が、英語教育に充分な時間を割いている一方で、 公立中学の英語授業は学校行事等で浪費される時間数を除けば、 週2時間強ではないでしょうか?公立中学在籍生徒が、 公教育のみで英語をマスターすることは至難の業です。

その具体例を記述しましょう。
中学生1年生の夏休みを過ぎた頃(中1教科書を3分の1程学習し終えた頃)、 be動詞・一般動詞・肯定文・否定文・疑問文・3人称単数の"s"などが混用され始めます。

公立中学1年生全体で、この関門を難なく通過できる生徒は、 上位の約2割(このグループが最後までトップ集団を形成)に過ぎません。 残りの生徒は、何らかの形で躓いてしまいます。次の3割は、 塾等で繰り返し学習することによって、1年生の内に何とか修復することが出来ます。

残る半分の生徒は、中学2年生と3年生の2年間に渡って、 この初期の躓きの影響を受け続けます。この内の半分の生徒は、 2年間かけてなんとか修復できるのですが、半分の悪銭苦闘組は、 中3までその影響を残したまま、修復できずに、中学校を卒業することになります。

分からなくなってしまったら、どうするべきか?

英語は、基礎からの積み重ねです。いったん授業内容がわからなくなったら、 わからなくなったところに戻って学習を再開するのが早道です。

中学校の英語学習では、数学・理科のように論理的思考力を必要としない代りに、 言語的な感性(但し、中学校の分野を越えた高度な学習をするとき以外は、 感性は必要ありません)と記憶力を必要とします。 又、英語を外国語として学習する中学生にとって、文法の理解なくして英語学習は成り立ちません。

そして、その英文法も、階段を上っていくように一歩一歩確実に理解していかなければ、 得点には結びつきません。高校入試・大学入試へ至る英語学習で階段をひとつでも踏みはずしてしまうと、 それ以降は砂上の楼閣を築くようなもので、簡単に崩壊してしまいます。 英語で伸び悩んでいる生徒は、たとえ中学3年生、高校生になったとしても、 常に中1単元(基礎の基礎)にまで遡ってチェックをし、 躓いたところから総復習をしない限り、おくれを取り戻せないのです。 文法を重視する入試のための英語は、特にその傾向が顕著です。

理想的な英語教育

  1. 幼児期~小学校低学年で英会話

    小学生の英会話学習に対して、かなり否定的なレポートとなってしまいましたが、 ベリタスは、英会話学習を決して否定するものではありません。 むしろ、幼児期~小学校低学年にかけて、英会話の学習を積極的にしていただきたいと考えています。 それは、こと発音に関して言えば、幼児期における英会話学習の効果は抜群だからです。 ですから、勉強として英会話を学習する必要はありません。本物の発音を将来のために身に付け欲しいのです。
    逆に言えば、ある程度、言語的発音が固まってしまってからでは、努力によって、 似ている発音は出来るようになっても、才能がない限り、 本物の発音を身に付けることは出来ないと言うことです。
    勿論、この場合、指導者が日本人とか、英語(標準米語・標準英語)を母国語としていない外国人では無意味ですが・・・。
    このことは、小学校低学年までしか海外で過ごしていない米国からの帰国子女が、 ほとんど英語を忘れてしまっているのに、発音に関しては誰よりも流暢に話し、リスニング能力も非常に高いことからも、 お判りいただけるのではないでしょうか。
    ちなみに、日本語の発音を音素の数で分類すると、母音5種・半母音2種・子音14種、 音節の種類と構造によって分類すると、現代共通語に関しては111種類の音節が認められています。 これは、音節数の少ないと言われる現代北京語で411種類、 現代英語に至っては3000種類以上と言われているのに比較すると、きわめて簡単なものです。

  2. 小学校中学年で単語を書く練習と語彙の増強

    小学校の3年生乃至4年生になったら、アルファベットとローマ字、 簡単な英単語を書けるようにしておくことをお薦めします。この時期になると、 鉛筆で文字を書くのも慣れてくる時期で充分に英語を書かせても良いと思われるからです。 また、ローマ字の学習を通して、文字とそれまでに身に付けた発音が結びつくからです。 と同時に、日常的に日本語の語彙の増強を忘れないで下さい。 日本語(母国語)で話せないことを、外国語で話すことは不可能です。 その意味で、この時期にどれだけしっかり国語の学習をしたかが、全ての学習に影響を与えてきます。

  3. 小学校高学年で英文法の初歩と論理的な文章の読破

    小学5~6年生になると、国語でも主語・述語・修飾語を学習する等、 英語を文法的に学習する準備が整ってきます。そうなれば、中学受験をする等の事情がなければ、 書く英語の学習を出来るだけ早く始めるに越したことはありません。 小学校を卒業するまでに、中学1年生の半分ほどを確実(読める・理解できるのレベルではなく、 書けるのレベルで)に終えておけば、充分です。 これだけのことを完結できた生徒の中学1年1学期の成績はほとんどが“5” です。 その後、2学期にも"5"を維持する生徒は5割弱で、3学期には、 3割へと下降しますが、 下降した生徒もほとんど"4"を維持し、 "3"にまで下がる生徒は滅多にいません。 つまり、小学生の内に、中学1年生の半分を確実に完成した生徒は、中学校では"4"以上が保証されるわけです。
    一方で、英語学習を遅れて開始するのに、中学受験をした生徒が遜色ない結果を出せるのは、 何故でしょうか?一つには、中高一貫校の充分な英語教育に助けられている面もありますが、 彼らがこの時期に入試のためにしていた国語力の増強 (論理的な文章の読破・抽象的な言語操作の練習・語彙力の増強)が、 大いに役立っていると言えます。英語も言語の一つにしか過ぎませんから、 日本語という言語をより理解している者が、他言語の習得も容易に出来ることは、当然だからです。

  4. 中学校に入ったら本格的な英文法の学習

    小学生の時期に、中学1年生の半分まで完成した生徒にとって、 中学1年生の後半部分を教科書レベルで仕上げることは容易なことですが、 中学2-3年生に向けて、理解や知識に厚みを付けることは、一人では不可能なことです。 その時に、良い指導者に出会えるか否かが今後の英語学習・果ては受験高校に大きな影響を与えることは確実です。
    20年ほど前まで中学3年生の学習領域であった文法事項の半分以上が、 現在では高校1年生の学習領域に移行しています。別稿にも書いたことですが、 高校受験で都・県立高校を越えた問題を出題する上位私立・国立高校を目指す生徒は、 英文法を最後まで完成しておくにこしたことはありません。 また、都・県立高校を目指す生徒にとっても、現在の中学3年生までの領域の完全習得は重要課題です。

本稿は20年以上前に書いたものです。現状と異なる場合がございます。

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